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ー鉄塔の腐食対策で長寿命化を実現する方法ー

鉄塔の腐食がもたらす影響とリスク

鉄塔は送電や通信の重要なインフラですが、長年の風雨や紫外線、塩害、排気ガスなどの影響で金属部分が腐食していきます。腐食は鉄塔の強度低下を引き起こし、場合によっては送電障害や倒壊の危険性にもつながります。特に送電鉄塔は高所に位置し、厳しい自然環境にさらされるため、腐食対策が欠かせません。

腐食が進行すると、塗装の剥離やボルトのゆるみ、部材の穴あきなどが発生します。これらは部分補修で済む場合もありますが、重度になると鉄塔全体の大規模改修が必要になり、コストが大幅に増加します。そのため、予防的な腐食対策は長期的な維持管理コストの削減に直結します。

 

腐食の主な原因

鉄塔腐食の原因は多岐にわたります。代表的なものは以下の通りです。

* 雨水や湿気による酸化反応
* 塩害(海に近い地域や潮風が当たる環境)
* 工場や車両からの排気ガスによる化学的腐食
* 紫外線や気温変化による塗膜劣化

これらの要因が複合的に作用することで腐食は加速します。

 

腐食が進むと起こる問題

腐食は単に見た目が悪くなるだけでなく、鉄塔の機能や安全性に直接影響します。特にボルトや接合部の腐食は構造全体の安定性を損ない、最悪の場合は部材の脱落や倒壊を招くこともあります。また、送電鉄塔の場合は電力供給の停止など社会的影響も大きくなります。

 

効果的な鉄塔の腐食対策

鉄塔の腐食対策は、事前の予防と定期的なメンテナンスが基本です。ここでは代表的な方法を紹介します。

 

定期点検と早期発見

腐食対策の第一歩は、定期的な点検によって早期発見することです。外観検査に加え、ドローンや高所カメラを用いた詳細な調査を行うことで、人が近づきにくい箇所の状態も確認できます。軽度の腐食であれば、部分的な補修や塗装で対処可能です。

 

防錆塗装の実施

鉄塔腐食対策の中心は塗装です。防錆塗料を塗布することで、金属表面を水分や酸素から遮断し、腐食を防ぎます。下塗りに防錆プライマー、中塗りと上塗りに耐候性塗料を使うことで長期保護が可能になります。

ここで重要なのが、塗装前の下地処理です。古い塗膜や錆を完全に除去してから塗装することで、塗膜の密着性と耐久性が向上します。

 

溶融亜鉛めっき(ホットディップ)

新設や大規模改修時には、鋼材を溶融亜鉛に浸す「溶融亜鉛めっき」が有効です。亜鉛層が鉄の表面を覆い、犠牲防食作用により長期間腐食を防ぎます。塗装よりも耐用年数が長く、特に海岸部や湿潤地帯に適しています。

 

腐食対策を長持ちさせるためのポイント

腐食対策をしても、その後の管理が不十分だと効果は短期間で薄れてしまいます。そこで、長持ちさせるための工夫が必要です。

 

定期メンテナンスの計画化

点検と補修のスケジュールを定め、計画的に実施します。例えば、防錆塗装は環境条件によって8〜15年周期で再塗装するのが理想です。

 

環境条件に応じた対策の選定

海沿い、山間部、都市部など立地条件によって腐食の進行速度は異なります。そのため、使用する塗料や防錆方法は環境に合わせて選ぶことが重要です。塩害地域では耐塩性の高い塗料、工業地帯では耐薬品性に優れた塗料が有効です。

 

まとめ

鉄塔の腐食は時間とともに進行し、放置すると大規模修繕や事故の原因になります。定期的な点検、防錆塗装、亜鉛めっきなどの対策を組み合わせることで、鉄塔の寿命を延ばし、安全性を維持できます。腐食対策は一度きりではなく、継続的な取り組みが必要です。インフラの信頼性を守るためにも、計画的なメンテナンスと環境に応じた最適な方法の選択が欠かせません。

2025.08.22